捨てるという行動の効用

人間には本能的に欠乏充足欲求があります

これは生存確率を下げる要因を減らすための危機回避行動、防衛本能と考えることもできます。

使わない洋服を何着もクリーニング店から持ち帰ったままの状態で一年以上クローゼットにしまったままにはなっていないでしょうか?

災害用に飲用水や缶詰を家庭内に備蓄している方も少なくありません。

食べるということについても、この方法は当てはまります。美味しいものをたくさん食べたいという欲求は強い欲求です。太ってしまうというデメリットがあるのはわかりつつも、その欲求に負けてしまいます。

このように私たちは普段の生活で、モノを蓄積することが自然と身に付いています。

これは生存本能からは自然なことで、仕方ないことと受け止めることはできます。意識して行動しなければ、その行動がどういう結果を導くかを考えなければ、私たちの生活に起こる出来事は自然の成り行きのままのもので、如何ともしがたいものということになりかねません。

一方で、捨てるということを意識することは、大きな変革をもたらす可能性を秘めています。

所有していたものを捨てる、差し出すという行動は、極めて主体的で、自立性の高い行動です。高次の思考が必要となる行動で、脳機能が低次の動物には困難な、とても人間的な行動ということができます。

所有しているものを捨てる、差し出す行動は実際にやってみると、清々しい気持ちを実感します。例えば、寄附、ボランティアなども差し出す行動です。

すぐ出来る捨てる行動は、家の掃除でしょうか。

こころの世界でも、所有しているものを捨てる行動は、大きな変革をもたらします。

人間関係はその代表例です。一般的には人間関係は日々大きく変わることはなく、数的に限られた安定したものです。

社会的な活動の仕方によって、様々な関係性が成り立ちますが、数が多くなる、親密さが薄くなるにつれて、安定感は揺らいでいきます。

一方で対人関係で、極少数の人との関わりに限られている場合は、安定感は強いですが、それ故に心地よい関係性が崩れている場合には閉塞感が強くなります。

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